Edit your comment NAME TITLE WEBSITE COMMENT しばやんさんのブログはいつも精緻な資料蒐集と分析で大変勉強になります。今回のシリーズも大変興味深い内容でためになりました。以前日本が本来信用できないソ連に終戦工作を頼ろうとしていたのか不思議に思った事をコメントさせていただきましたが、逆に取り込まれていた部分もあると解ると合点がゆくところがあります。 いつの時代もどこの国でも、国際関係の仕事をしている人達は自分の得意とする国や地域があるもので、その人がその地域や国を詳しいからといって他国のために働く(魂を売る)という訳ではないだろうとは思います。知日派と言われる外国人達が全員日本のために自国の国益を損ねてまで働くとはとても思えません。だから現在の外務省職員にしても当時の軍人にしても自分の専門とする国とは良好な関係を築いて自分の地位を高いものにしたいという我欲はあるでしょうが、他国の国益のために国を売る事まではしないのではと思います。そこに騙し、騙されの複雑なやりとりが絡むと一層外から判断することが難しいものになるだろうと思います。 さて、戦前の純粋な気持ちを持った日本の軍人達は当時の若者達が社会主義思想に傾倒したように我欲にまみれた資本主義よりも社会主義的な思想に親和性があったことは容易に推察されます。元々裕福なお坊ちゃんが軍人になる事は少なく、比較的貧しい田舎出の優秀な次男坊三男坊が兵学校などに進んでいったのだろうと思います。その点学徒出陣で兵役を免れていた大学生達とは少し違っていたのではと思います。 中世における戦争は領主達(貴族)が領民を率いて或は兵隊を雇って略奪のために戦争を行ったのであり、植民地争奪戦なども結果的には国の利益よりも自分の利益に直結するから戦争をしてきたものと考えられます。つまり軍人は資本家的な思考をしていたはずです。現在の中国解放軍も次第に革命前の軍閥のようになりつつあるようで、金と権力が結びついた構造になりつつある点で既に中国は中世に戻りつつあるのではないかと考えます。本来近代国家における軍人は戦争によって自分が豊かになる事はなく、あくまで国益が追求されるのみであり、自分が戦うことによって国民が幸せになる、と言う代償しかない点で非常に社会主義的な精神を強いられ、それを受け入れていると言えるでしょう。それは自由主義国家(西側)社会主義国家(東側)を問わず共通の事でした。だから一個人として軍人同士が話をすると体制によらず結構価値観が似ていて気が合うということがありました。 ところが、グローバル社会になって、米国が「テロとの戦争」を始めて見ると、軍人達はいくら戦っても国民が幸せになったり豊かになったりする訳ではなく、グローバル企業(や一部の資産家)が商売をしやすくするためにそれを妨害するローカルなテロリズム(或はそれを快しとしない一般の人)と戦争をするだけになってしまいました。つまり近代国家における軍人の精神構造では対応が難しくなっている。むしろ中世の貴族や資産家が傭兵を雇って自分達の取り分を増やすために戦争をしている姿に戻りつつあると考えるほうが理解しやすく、米国でもブラックウオーターなどの傭兵企業が大きな役割を担うようになっています。 長いコメントで恐縮ですが、しばやんさんの渾身のブログを拝見してそのような感慨を持ちました。中国は国内の人民解放軍が中世の軍閥化しつつある事を危ぶんで国民国家型の軍(党の軍ではなく)に変換しようと試みているように見えます。強力な軍を背景にした国家資本主義が中国の目指す「21世紀生き残り戦略」のように見えますが、そのとばっちりを日本があびないようにうまく振る舞って行く必要があると思います。 PASSWORD SECRET SENDDELETE