丹波に秋の味覚を求めて~~丹波栗の歴史と生産農家の危機
17日の日曜日は朝から秋らしい爽やかな天気で、秋の味覚を求めにちょっと車を走らせた。 摂丹街道(R423)を北に走ると、大阪府と京都府の境界線あたりから地元の農産物などが安く買えるところがいくつかある。 途中で朝市もあれば、農家が獲れたばかりの農産物を庭先で売っていたり、飲食店を経営しているところが野菜や果物を店先に並べていたりする。私が良くいくところはそういう場所だ。この近辺までくれば、店によって若干の価...
丹波篠山の重要文化財・天然記念物を訪ねて~~磯宮八幡宮と大国寺
24日の日曜日も天気が良かったのでまた田舎道をドライブしたくなった。 先週は亀岡だったが今度は丹波篠山を目指すこととして、事前に丹波篠山の国指定の重要文化財がどこにあるかを調べてみたところ全部で16あり、その内の6つは大国寺という天台宗の寺院にあることがわかったので、まずはその寺を目指すことにした。 吹田から一般道を走り池田から川西、猪名川につながる川西篠山線(県道12)を北上していく。 途中で磯宮八幡神社と...
龍野公園と龍野城の桜を楽しむ
しばらく地震の記事ばかり書いていたら、ブログ仲間から桜の写真を催促されてしまった。 桜の時期になると毎年どこかへ桜を見に行くのだが、ブログを書き始めてからどこに行くか随分迷うようになったし、どこの写真を撮るにしてもアングルなどに随分こだわるようになった。 有名なところはどこへ行っても人が多いのでゆっくり景色を楽しめず、余程早くいかないと人や車や電線など余計なものが写ってしまう。マイクを使ってイベント...
淡路島の東山寺に残された石清水八幡宮護国寺の仏像を訪ねて~~淡路島文化探訪の旅1
淡路島の文化財を調べていると「東山寺(とうさんじ)」というお寺に平安時代の仏像13体が国の重要文化財に指定されているのが目にとまった。この13体の仏像の由来を調べると、明治の廃仏毀釈の時に京都の石清水八幡宮護国寺(いわしみずはちまんぐうごこくじ)から淡路島のこの地に遷されたという記事を見つけて興味を覚え、この目で見たくなった。 6月になって淡路島の鱧料理が旬を迎えたので、この東山寺や淡路島の面白そうなとこ...
「国生み神話」ゆかりの神社を訪ねて、昼は鱧料理のフルコース~淡路島文化探訪の旅2
淡路島は「国生み神話」の舞台でもある。 高校時代に日本神話を学んだときは、史実でもない作り話にほとんど関心を持たなかったが、この歳になって実際に「古事記」や「日本書記」を読んでみると、結構面白いのだ。 「国生み神話」は「古事記」と「日本書紀」とは微妙に異なるところがあるが、たとえば「古事記」にはこのように書かれている。 「そこで天の神様方の仰せで、伊耶那岐の命(いざなきのみこと)・伊耶那美の命(いざなみ...
淡路人形浄瑠璃と高田屋嘉兵衛と淡路特産玉葱の「七宝大甘」~~淡路島文化探訪の旅3
お昼に鱧料理を堪能し、再び淡路島のドライブを続ける。つぎに紹介したいのは淡路島の伝統芸能である人形浄瑠璃だ。大阪の文楽や徳島の阿波人形などのルーツだと言われており、昭和51年(1976)に国の重要無形民俗文化財に指定されている。 淡路島人形浄瑠璃の歴史は南淡路市のHPに簡記されている。http://www.city.minamiawaji.hyogo.jp/index/page/dbb2afd6c95a4c8fc86b63d694339cda/ が、もう少し詳しく知りたい人は、次のサイ...
丹波古刹の「もみじめぐり」から香住へ~~香住カニ旅行1
毎年カニ解禁になると日本海方面に旅行することにしているのだが、今年は3年前と同じ香住の宿にして、途中に通る場所でこの季節に訪れたい名所・旧跡を巡る計画を立てて先週(9-10日)に行ってきた。 大阪では紅葉はまだまだだが、山間部に行けばそろそろ色づいているであろうことを期待して、初日は丹波市のいくつかの古刹の中から紅葉で有名な場所を選んで旅程に組み込んだ。旅程を組む際に、ネットで見つけた「丹波市のもみじめぐ...
香住から但馬妙見山の紅葉と朱塗りの三重塔を訪ねて~~香住カニ旅行2
香住で朝を迎えると、宿の主人から声がかかって「岡見公園」まで車で案内していただいた。「岡見公園」は名勝香住海岸から北に突き出た城山半島という岬の先端にある公園で、北に見える小さな島は白石島という名だそうだ。 春には桜が咲き、夏にはユウスゲという黄色い花が咲くこの場所は、5月から9月にかけて海に沈む夕日が楽しめるそうで「日本の夕陽百選」に認定されているという。一見穏やかそうな海に見えるのだが、北風の影...
「天空の城」竹田城を訪ねて~~香住カニ旅行3
但馬妙見山の三重塔を見た後、途中で昼食をとり、次の目的地の竹田城に向かう。 竹田城は国の史跡に指定され日本百名城の一つにも選ばれているのだが、石垣しか残されていないのでそれほど観光客が多いとは思っていなかったのが甘かった。到着すると駐車場待ちの車が延々と続いていて、駐車場待ちが50分と言われ、ここから山頂の竹田城までは2.6kmもあるという。車の列の先頭は500メートルほど先の「山城の郷」で、そこからは道路...
紅葉の名所・養父神社と香住の帝釈寺を訪ねて
聖徳太子や恵便にゆかりのある寺を訪れたのち、兵庫県養父市にある養父(やぶ)神社に向かう。 養父神社は但馬では粟鹿(あわが)神社、出石(いずし)神社と並ぶ古社で、平安時代の延長5年(927)にまとめられた『延喜式』神名帳には名神(みょうじん)大社「夜夫坐(やぶにいます)神社」と書かれているそうだ。 名神というのは、神々の中で特に古来より霊験が著しいとされる神に対する称号で、『延喜式』「神名帳」には日本全国で226社313...
但馬安国寺の紅葉と柏原八幡神社の神仏習合の風景などを訪ねて
さて、旅行の2日目に入るが、朝一番に向かったのは兵庫県豊岡市但東町にある但馬安国寺。紅葉の名所なので朝一番に向かったのだが、すでに大勢の観光客が来ていた。「安国寺」というと、南北朝時代に足利尊氏・直義兄弟が京都天龍寺の夢窓疎石の勧めにより、後醍醐天皇をはじめとする南朝の戦没者の菩提を弔うために各地に建てたと伝えられ、この但馬安国寺も全国に68ある安国寺のうちのひとつなのだが、いろいろ調べるとそれらの...
播磨の国宝寺院の神仏習合の景観を楽しんで~~朝光寺・浄土寺
毎年紅葉の時期に古社寺を訪ねて日本海方面で一泊する旅行を企画するのだが、今年は兵庫県の国宝や紅葉名所をいくつか織り込んだ計画を立てて、先週行ってきた。中国自動車道のひょうご東条ICから社(やしろ)方面に北上していくと、加東市に朝光寺(ちょうこうじ)という古い寺がある。この寺の本堂が国宝に指定されている。寺伝によると白雉(はくち)2年(651)に法道上人によって開基され、当初は裏山の権現山に建立されたそうだが、治...
素晴らしい紅葉の国宝寺院・一乗寺から日本海へ
次に向かったのは西国三十三所巡礼観音霊場第26番札所の一乗寺(0790-48-4000)だ。浄土寺からは車で30分もかからない。駐車場に車を停めて、入口に向かうと塔頭寺院である歓喜院の山門あたりの紅葉が、ちょうど見頃を迎えていたので、思わずシャッターを押した。兵庫県の紅葉スポットを案内するサイトで、一乗寺を紹介しているところはほとんどないのだが、この寺は知る人ぞ知る紅葉の名所である。ただ紅葉の木が多いのではなく、う...
柴山漁港の競りを見学のあと出石神社、宗鏡寺の紅葉を楽しむ
柴山で宿泊した民宿から15分ほど歩いたところに柴山漁港がある。7時ごろからカニの競りがあると聞いたので、朝食前に散歩をかねて見に行くことにした。ちょっと早い目に着くと、ちょうどカニをランク順に並べておられる最中だった。柴山漁港で水揚げされるズワイガニの活カニは「柴山がに」と呼ばれて高級ブランドになっているが、「柴山がに」のランクは大きさ、重さ、姿などで50種類近くあるようだ。柴山漁港のカニのランクは次...
出石散策の後、紅葉の美しい国宝・太山寺へ
出石蕎麦の昼食を終えて出石城址に向かう。途中で出石のシンボルである辰鼓楼(しんころう)がある。辰鼓楼は明治4年(1871)に建てられたもので、昔は太鼓をたたいて時刻を報じたのだそうだ。谷山川にかかる橋を渡り城址にのぼる階段のすぐ東隣りに諸杉(もろすぎ)神社がある。この神社の祭神は多遅摩母呂須久(たじまもろすく)で、この人物は、前回の記事で記した出石神社の祭神である新羅の王子・天日槍(あめのひぼこ)の嫡子なのだそ...
江戸幕末以降の危機を何度も乗り越えて、奇跡的に残された国宝・姫路城を訪ねて
姫路城から書写山・円教寺を巡る小旅行をずっと前から企画していたのだが、姫路城は昨年の3月に5年半に及ぶ「平成の大修理」を終えて以降訪れる観光客が半端な数ではなく、昨年の夏の平日に観光した知人から、切符を買って入城するのに2時間以上待たされたという話を聞かされていたのでしばらく行くことを躊躇していたのだが、ゴールデンウィークが過ぎてそろそろ大丈夫かなと勝手に期待して、先週の土曜日に朝早く自宅を出て久し...
新緑の書写山・円教寺と、その「奥の院」と呼ばれる弥勒寺に残された神仏習合の世界
姫路城を楽しんだ後、西国三十三ヶ所の第二十七番札所である円教寺に向かう。この寺は標高371mの書写山(しょしゃざん)の山上にあり車で行くことは出来ないので、カーナビの目的地を書写山ロープウェイ(079-266-2006)にセットする。姫路城の大手門前駐車場から15分程度で山麓駅のパーキングに到着する。書写山ロープウェイは、毎日8時30分以降、毎時0分、15分、30分、45分に出発するが、団体客がある時などはたまに増発される。山上...
紅葉を訪ねて播州清水寺から生野銀山へ
紅葉の美しい季節となったので、今年も紅葉名所などを訪ねながら日本海に向かうドライブツアーを企画して先日行ってきた。近年外国人観光客が激増して有名な社寺は駐車場待ちとなるリスクがあり時間のロスが大きくなるので、今年は、あまり有名でない寺社を中心に計画を立てていた。最初に訪れたのは兵庫県加東市にある西国三十三所巡礼観音霊場第二十五番札所の清水寺(0795-45-0025)。上の画像はその仁王門である。この寺の建物は...
明治維新の魁(さきがけ)とされる生野義挙のこと
旧生野鉱山職員宿舎から西に400mほど歩くと生野小学校があり、その南東隅に『生野義挙跡』の石碑(市指定文化財)が建っている。以前このブログで文久3年(1863)8月に奈良で起きた『天誅組の変』のことを書いたが、『生野義挙』というのは、『天誅組の変』の2カ月後に尊王攘夷派が挙兵した事件をいう。いずれも明治維新の魁(さきがけ)ともよ呼ばれる事件なのだが、教科書などでは何も書かれていない。たとえば、『もういちど読む 山...
香住にある国指定重要文化財を楽しんで~~~帝釈寺、大乗寺を訪ねて
香住の宿をチェックアウトし、干物などの海産物を買い求めてから拝観を予約していた帝釈寺(0796-36-0717)に向かう。3年前に香住に来たときには、予約していなかったので寺の境内を散策しただけで終わってしまった。この寺は決して大きな寺ではないのだが、古い歴史を有しているだけでなく寺の創建に関して興味深い伝承を持つ寺である。寺の案内板にはこの寺の創建についてこう書かれている。「この寺の、本尊帝釈天は聖徳太子が自...
名勝猿尾滝から但馬・丹波の名工の彫刻が残されている古社寺を訪ねて
大乗寺の観光を終えて、但馬三名瀑の一つに数えられ、日本の滝百選にも選定されている猿尾滝(美方郡香美町村岡区日影)に向かう。大乗寺からローソン香美町村岡店(☎0796-94-0800)を目指して走り、さらに400mほど山陰道を直進すると猿尾滝口の交差点があり、そこを左折して1km程度走れば猿尾滝の駐車場がある。紅葉の名所としても有名な場所なのだが、訪れた日にはだいぶ落葉が進んでいた。もう数日早く来ていればもっと美しい景色を...
梅の咲く季節にシーボルトが絶賛した賀茂神社を訪ねて
たまには古い街並みを歩きたいと思って、兵庫県たつの市の室津に行ってきた。そろそろ梅が見頃のようなので、最初に近くにある綾部山梅林(たつの市御津町黒崎1492 ☎079-322-3551)を旅程の最初に入れていた。この梅林は24ヘクタールの広大な綾部山広陵に2万本近い梅の木が植えられているという。今年は開花が遅れていて7分咲き程度であったが、充分楽しめることが出来た。この記事をアップする頃は満開になっているだろう。漂う梅...
室津の歴史と、その古い街並みを楽しむ
前回の記事で室津は古来より天然の良港として有名であったことを書いた。室津は三方を山で囲まれているので強風を避けることができ、風待ち・潮待ちのために絶好の港であるということで、古くから宿場として繁栄したのだが、風光も明媚であることから万葉時代から歌人が作品を残している。たとえば万葉集に山部赤人の歌がある。「玉藻刈る辛荷の島に島廻する 鵜にしもあれや家思はざらむ」 万葉集(巻6)「辛荷の島」とは、たつ...